BGP マルチホーミング

マルチホームとは

マルチホームとは、単一のネットワークが複数のインターネットサービスプロバイダー(ISP)やネットワーク接続を利用してインターネットに接続することを指します。これにより、ネットワークの冗長性や信頼性、可用性が向上します。

マルチホームの特徴と利点

  1. 冗長性の向上:
    • 一方のISPが障害を起こした場合でも、他方のISP経由でインターネット接続が維持されます。
  2. 可用性の向上:
    • 複数のISPを使用することで、ネットワークの可用性が高まります。特に重要なサービスを提供する企業にとっては、ダウンタイムを最小限に抑えることができます。
  3. トラフィックの負荷分散:
    • トラフィックを複数のISPに分散することで、各接続の負荷が軽減され、ネットワーク全体のパフォーマンスが向上します。
  4. コスト効率:
    • ISP間の競争を利用して、より良い価格やサービスを引き出すことができます。

マルチホームの実装方法

  1. 複数のISPとの契約:
    • ネットワークを複数のISPに接続するために、それぞれのISPと契約を結びます。
  2. ルーティングプロトコルの設定:
    • BGP(Border Gateway Protocol)を使用して、各ISPとのルーティング情報を交換します。
    • BGPを使用することで、最適なルートを選択し、ネットワークの冗長性と可用性を高めます。
  3. ネットワーク機器の設定:
    • ルーターやスイッチに適切な設定を行い、ISPごとの接続を管理します。
    • 各ISPとのBGPセッションを設定し、ルートフィルタリングやポリシーを設定することで、トラフィックの管理を行います。

BGPのマルチホーミング設定例

自分自身のAS内で生成されたルートのみをアドバタイズ

1.BGPの基本設定

BGPプロセスをAS番号300で開始し、ネットワーク10.1.0.010.2.0.0をBGPルーティングテーブルに追加します。これにより、これらのネットワークが他のBGPピアにアドバタイズされるようになります。

2.BGPピアの設定

SP-AとSP-Bに対してBGPピアを確立します。

3.ルートマップの適用

BGPピアに対してルートをアドバタイズするとき、localonlyというルートマップを適用します。

4.AS-Pathアクセスリストの設定

AS-Pathアクセスリストを作成し、空のASパス(^$)に一致するルートだけを許可します。空のASパスというのは、自分のASで生成されたルート、すなわち外部ASから学習されたルートではなく、自分のAS内のルートであることを示します。

5.ルートマップの設定

ルートマップlocalonlyは、AS-Pathアクセスリスト10に一致するルート(つまり、ASパスが空のルート)だけをピアにアドバタイズします。

自分のAS(AS300)で発生したルートだけを外部ピアにアドバタイズ

SPから発信されたものではないものを除外し、SPから学習したルートをフィルタリングするために使用します。

1.BGPの基本設定

BGPプロセスをAS番号300で開始し、ネットワーク10.1.0.010.2.0.0をBGPルーティングテーブルに追加します。これにより、これらのネットワークが他のBGPピアにアドバタイズされるようになります。

2.BGPピアの設定

SP-AとSP-Bに対してBGPピアを確立し、それぞれルートマップを適用します。

3.AS-Pathアクセスリストとルートマップの設定

自分のAS(AS300)内で生成されたルートだけをアドバタイズし、他のルートはアドバタイズしないようにするための設定

AS-Pathアクセスリスト10は、ASパスが空(つまり、自分のAS内で生成されたルート)であるルートのみを許可します。route-map localonlyに適用され、ピアにアドバタイズするルートを制御します。

4.ピアから特定のルートを受信する設定

  • AS-Pathアクセスリスト20は、AS100から直接発信されたルートのみを受信するためのフィルタです。
  • AS-Pathアクセスリスト30は、AS200から直接発信されたルートのみを受信するためのフィルタです。
  • それぞれのピアに対して、対応するルートマップを**インバウンド(in)**で適用することで、AS100やAS200からの特定のルートのみを受信します。

5.デフォルトルートの設定

ルートマップlocalonlyは、AS-Pathアクセスリスト10に一致するルート(つまり、ASパスが空のルート)だけをピアにアドバタイズします。

デフォルト ルートだけを受信するための設定

ルータにはデフォルトルートだけを受信させ、SP-AおよびSP-Bからの他のネットワークは受信させないようにするため、デフォルトルートだけを許可し、他のすべてのBGPアップデートを拒否します。

1.BGPの基本設定

BGPプロセスをAS番号300で開始し、ネットワーク10.1.0.010.2.0.0をBGPルーティングテーブルに追加します。これにより、これらのネットワークが他のBGPピアにアドバタイズされるようになります。

2.BGPピアの設定

SP-AとSP-Bに対してBGPピアを確立し、それぞれルートマップを適用します。

  • ピア1(IPアドレス10.10.10.10、AS100)とピア2(IPアドレス10.20.20.20、AS200)にBGPセッションを確立しています。
  • ピア1およびピア2に対して、**アウトバウンドのルートマップlocalonly**を適用しています。このルートマップは、特定のルート(ASパスが空のルート、自分のASで生成されたルート)のみをアドバタイズするためのものです。
  • **インバウンドのプレフィックスリストABC**を適用し、受信するルートをデフォルトルート(0.0.0.0/0)のみに制限しています。

3.プレフィックスリストの設定

**プレフィックスリストABC**は、**デフォルトルート(0.0.0.0/0)**のみを許可するリストです。このリストをインバウンドに適用することで、ピア1およびピア2から受信するルートはデフォルトルートのみに制限されています。

参考文献