EIGRP アジャセンシー

アジャセンシーとは

EIGRP(Enhanced Interior Gateway Routing Protocol)のアジャセンシー(adjacency)は、EIGRPルーターが近隣ルーターと隣接関係を確立するプロセスです。これにより、ルーターはルーティング情報を交換し、ネットワーク内のルートを効率的に管理します。

EIRGPのパケット

EIGRP(Enhanced Interior Gateway Routing Protocol)が出すパケットには、以下の5種類があります。

パケット意味
Helloパケットネイバー(隣接ルーター)との関係を確立および維持するために使用されます。
デフォルトで5秒(LANの場合)または60秒(WANの場合)ごとに送信されます。
Updateパケットルーティング情報を送信するために使用されます。
トポロジーが変更されたときや、新しいルーティング情報が追加されたときに送信されます。
Queryパケットルートの情報を求めるために使用されます。
ルータが特定のルートに関する情報を持っていない場合や、ルートが不通になった場合に送信されます。
ReplyパケットQueryパケットに対する応答として送信されます。
ルータが求められたルートに関する情報を提供します。
ACK(Acknowledgment)パケットUpdate、Query、Replyパケットの受信を確認するために使用されます。
信頼性のあるデリバリを保証するために使用されます。

EIGRPのネイバー確立

EIGRPがネイバー関係を確立するプロセスには、以下のステップがあります。

順番項目具体的な内容
1Helloパケットの送信と受信ルーターはHelloパケットを定期的に送信し、
自分の存在を近隣のルーターに知らせます。
同時に、他のルーターからのHelloパケットを受信します。
2ネイバーの認識Helloパケットを受信したルーターは、送信元ルーターをネイバーリストに追加します。
Helloパケットには、AS番号、認証情報、ホールドタイマー、インターフェース情報などが含まれています。
これらの情報を使用して、ルーターが同じEIGRPドメイン内で動作していることを確認します。
3ネイバー関係の確立ルーターはHelloパケットを交換し続け、互いの存在を確認し続けます。
ネイバー関係が確立されると、ルーターはルーティング情報の交換を開始します。
4ルーティングテーブルの交換(Updateパケット)ネイバー関係が確立されると、ルーターはUpdateパケットを送信して、自分のルーティングテーブルの情報をネイバーに通知します。
これにより、各ルーターが全体のネットワークトポロジーを把握できるようになります。
5QueryおよびReplyパケットの使用ネットワークトポロジーが変化した場合、ルーターはQueryパケットを使用して、他のルーターに特定のルートの情報を問い合わせます。
他のルーターはReplyパケットを使用して応答し、必要な情報を提供します。
6定期的なHelloパケットの送信ネイバー関係が維持されている間、ルーターは定期的にHelloパケットを送信し続けます。
もしHelloパケットの受信が一定期間途絶えると、ホールドタイマーが切れてネイバー関係が解消されます。

EIGRPのネイバーを確立する際の重要ポイント

EIGRPのネイバー(隣接関係)を確立する際に重要なポイントは以下の通りです。

1. AS番号の一致

EIGRPは自律システム(AS)番号を使用してルーターを識別します。ネイバーとして認識されるためには、ルーター間で同じAS番号が設定されている必要があります。

2. 認証の一致

EIGRPは認証をサポートしており、認証が有効になっている場合、正しい認証情報(キーチェイン、パスワードなど)が一致しなければ隣接関係を確立できません。

3. ネットワークアドレスの一致

ルーター間で物理的に接続されているインターフェースが同じネットワークに属している必要があります。サブネットマスクも一致している必要があります。

4. HelloおよびHoldタイムの一致

EIGRPはHelloパケットを使用してネイバーを検出します。デフォルトのHelloタイムは5秒(低帯域幅リンクでは60秒)、Holdタイムは3倍の15秒です。これらのタイマーはルーター間で一致している必要があります。

5. K値の一致

EIGRPはルート計算に使用するメトリック(K値)を調整できます。K1からK5の値が一致していないと隣接関係を確立できません。

6. MTUの一致

EIGRPはMTU(Maximum Transmission Unit)も考慮します。MTUが異なる場合、EIGRPネイバーとして認識されないことがあります。

7. ルーターIDのユニーク性

各EIGRPルーターはユニークなルーターIDを持つ必要があります。同一ネットワーク内で同じルーターIDが設定されていると、隣接関係に問題が発生することがあります。

8. ステートフルインスペクションの適切な設定

ファイアウォールやアクセスリストを使用している場合、EIGRPトラフィック(特にマルチキャストアドレス224.0.0.10へのUDPポート88)がブロックされないように設定する必要があります。

9. メッセージングタイプの適切な設定

EIGRPはマルチキャストとユニキャストの両方を使用しますが、ネットワークの設定によってはマルチキャストが制限される場合があります。その場合はユニキャストEIGRPネイバーを設定する必要があります。

10. 一致したイーサネットタイプ

一部のネットワーク機器では、EIGRPは特定のイーサネットタイプの設定を必要とする場合があります。これが一致しないと隣接関係が確立されないことがあります。

参考文献

Configuring EIGRP
EIGRPの概要
Enhanced Interior Gateway Routing Protocol の理解および使用