EIGRP スタックインアクティブ(SIA)とは
EIGRP(Enhanced Interior Gateway Routing Protocol)の「スタックインアクティブ(Stuck in Active, SIA)」状態は、EIGRP ルータが指定された時間(約 3 分)以内に 1 つ以上のネイバーからクエリに対する応答を受信しなかったことを意味します。これが発生した場合、EIGRP は、応答を送信しなかったネイバーとの隣接関係を解消し、アクティブになったルートに関する DUAL-3-SIA エラーメッセージをログに記録します。
スタックインアクティブ(SIA)状態の詳細
- アクティブ状態とは: EIGRPルータが特定のルートを失ったとき、もしくはルートの変更が発生したとき、そのルートに関してEIGRPは他のネイバーにクエリを送信して新しいルートを探します。この状態を「アクティブ」と呼びます。通常、EIGRPはすぐに適切なフィージブルサクセサー(バックアップルート)を見つけ、ルートが安定(パッシブ)状態に戻ります。
- スタックインアクティブとは: 通常、ルートの再計算は短時間で完了しますが、何らかの理由でネイバーからのクエリ応答がない、または非常に遅れると、そのルートが「スタックインアクティブ(SIA)」状態に陥ります。SIA状態になると、そのルートは長時間アクティブなままで、ネットワークのルーティングに影響を与える可能性があります。
SIA状態の原因
EIGRPがスタックインアクティブ(Stuck in Active, SIA)状態になる原因としては、いくつかの要因が考えられます。以下に、主な原因を挙げます。
1.ネイバーの非応答
- 原因: ルータがクエリを送信しても、ネイバーからの応答がない場合に発生します。ネイバーが過負荷状態にある、ネイバーが応答しない、またはダウンしている可能性があります。
- 具体例: ネイバーが高いCPU使用率やメモリ使用率により応答できない、またはネイバールータのインターフェースがダウンしている。
2.ネットワーク遅延やパケットのロス
- 原因: クエリパケットやレスポンスパケットが遅延したり、途中で失われたりすることで、SIA状態が発生します。ネットワーク内の高い遅延やパケットドロップが原因となります。
- 具体例: WANリンクでの高遅延、ネットワークの輻輳、あるいは不安定なリンクによるパケットロス。
3.不適切なEIGRPタイマー設定
- 原因: EIGRPで設定されているタイマーがネットワーク条件に合わない場合、クエリの応答がタイムアウトしやすくなります。特に、ホールドタイムやアクティブタイムの設定が原因となることがあります。
- 具体例: アクティブタイマーが短すぎるために、クエリ応答を待つ時間が足りない。
4.ネットワーク設計の問題
- 原因: 複雑なネットワークトポロジや過剰なサブネット分割などが原因で、EIGRPクエリが広範囲にわたり、多くのネイバーに影響を与えることがあります。この場合、クエリに対する応答が得られず、SIA状態に陥る可能性があります。
- 具体例: 大規模なフラットネットワーク、または過度に階層化されたネットワーク構造によるEIGRPのスケーラビリティの問題。
5.ハードウェアの問題
- 原因: ルータやネットワーク機器のハードウェア障害が原因で、正常にクエリ応答が行えないことがあります。
- 具体例: メモリ不足、ハードウェア故障、またはインターフェースのエラーによるパケットの処理遅延やドロップ。
6.アクセスリストやフィルタリングの設定ミス
- 原因: ネイバー間でのEIGRPトラフィックがフィルタリングされ、クエリパケットやレスポンスパケットが適切にやり取りできないことが原因です。
- 具体例: アクセスリストの誤設定により、EIGRPパケットがブロックされている。
7.ルーティングループや不安定なルート
- 原因: ルーティングループや頻繁に変化する不安定なルートがあると、EIGRPのルート計算が正常に完了せず、クエリが返ってこないことがあります。
- 具体例: ネットワークの構成変更によるループ発生、または不安定なネットワークリンク。