OSPFv3アドレスファミリーのサポート

OSPFv3アドレスファミリーとは

OSPFv3アドレスファミリー機能は、IPv4およびIPv6ユニキャストトラフィックの両方をサポートするための機能です。この機能により、同じインターフェース上でIPv4とIPv6のプロセスを個別に管理できますが、各アドレスファミリー(AF)ごとに1つのプロセスしか持てません。

主要なポイント

  • IPv4 AFの使用: インターフェースにはIPv4アドレスを設定する必要がありますが、IPv6が有効であることが前提です。
  • IPv4ルートの伝送とインストール: OSPFv3を使ってIPv6ネットワークでIPv4ルートを伝送し、トンネリングなしでIPv4トラフィックを転送できます。
  • 別のトポロジーの構築: IPv4 AFのために別のトポロジーを構築し、IPv4ルートをネイティブに転送可能。
  • アドレスファミリー固有の設定: 各AFは異なる隣接関係、リンクステートデータベース、最短経路木を持ち、独自のRIB(ルーティング情報ベース)にルートをインストールします。
  • OSPFv3と他のルーティングプロトコルの相互運用性: OSPFv3ルートを他のIPv4ルーティングプロトコルに再配布できます。

制約と互換性

  • ソフトウェアの互換性: OSPFv3アドレスファミリー機能は、Cisco IOSリリース15.1(3)Sおよび15.2(1)T以降でサポートされています。古いリリースでは、この機能を使用できず、隣接関係を確立できません。

OSPFv3アドレスファミリー機能の注意点

  • OSPFv3でIPv4ユニキャストアドレスファミリ(AF)を使用するには、リンク上でIPv6を有効にする必要があります。
  • OSPFv3のアドレスファミリ機能では、インターフェースごとに2つのプロセスを持つことができますが、各AFに対して1つのプロセスしか設定できません。
  • IPv4 AFを使用する場合、インターフェースにIPv4アドレスを設定し、さらにIPv6を有効にする必要があります。

OSPFv3アドレスファミリーの基本設定

基本構文

OSPFルータプロセスを有効化します。
Device(config)#router ospfv3 [process-id]

OSPFv3のIPv6またはIPv4アドレスファミリー構成モードに入ります。
Device(config-router)# address-family [ ipv6 | ipv4 ] unicast

OSPFプロセスに参加するインターフェイスを定義します。
Device(config-router-af)#network address wildcard-mask

ルータIDの設定

固定ルーターIDを使用するために、このコマンドを入力します。
Device(config-router)#router-id router-id

インターフェイスでのOSPFv3の有効化

インターフェイス構成モードに入ります。
Device(config)#interface type number

IPv4またはIPv6アドレスファミリーでインターフェイス上のOSPFv3を有効にします。
Device(config-if)#ospfv3 process-id area area-ID {ipv4 | ipv6}[instance instance-id]

インターフェイスでOSPFv3を有効にします。
Device(config-if)#ipv6 ospf process-id area area-id [instance instance-id]

設定例

OSPFv3を使用して、IPv4およびIPv6の両方のアドレスファミリをサポートします。

OSPFv3アドレスファミリーのオプション設定

ルーターコンフィギュレーションモードでのオプション

OSPFv3エリアの構成
Device(config-router)#area area-ID [default-cost | nssa | stub]

コマンド内容
default-costエリア間のコストを指定するために使用
nssaNSSA(Not-So-Stubby Area)としてエリアを設定する際に使用
stubスタブエリアとしてエリアを設定する際に使用

インターフェイスのメトリクスを計算する際に使用する基準値の制御
Device(config-router)#auto-cost reference-bandwidth Mbps

syslogメッセージの抑制

デバイスがサポートされていないLSAタイプ6のマルチキャストOSPFv3パケットを受信した際に、syslogメッセージの送信を抑制します。
Device(config-router)#ignore lsa mospf

SNMP識別番号の構成

OSPFv3インターフェイスを、IPv4およびIPv6におけるSimple Network Management Protocol(SNMP)MIB-IIインターフェイスインデックス(ifIndex)識別番号で構成します。
Device(config-router)#interface-id snmp-if-index

syslogメッセージの送信

OSPFv3の隣接デバイスがアップまたはダウンしたときに、デバイスがsyslogメッセージを送信するように構成します。
Device(config-router)#log-adjacency-changes [detail]

パッシブインターフェイスの設定

IPv4 OSPFv3プロセスが使用されている場合、インターフェイスでのルーティングアップデートの送信を抑制します。
Device(config-router)#passive-interface [default | interface-type interface-number]

コマンド内容
defaultすべてのインターフェースをデフォルトでパッシブに設定します。つまり、すべてのインターフェースからルーティング更新を送信しません。
interface-type interface-number指定したインターフェースをパッシブに設定します。指定されたインターフェースからはルーティング更新が送信されませんが、他のルータからのルーティング更新は受信します。

受信パケットの数の構成

IPv4 OSPFv3プロセスがキュー内に保持できる受信パケットの数を構成します。
Device(config-router)#queue-depth {hello | update} {queue-size | unlimited}

コマンド内容
helloOSPFのHelloパケットのキューサイズを指定します。
updateOSPFのUpdateパケットのキューサイズを指定します。
queue-sizeキューの深さ(サイズ)を指定します。キューが満たされると、古いメッセージが削除され、新しいメッセージが追加されます。
unlimitedキューサイズに制限を設けず、キューが無制限に増加する設定です。

ルート集約の設定

エリア境界でルートを集約し、サマライズします。
Device(config-router)#area area-id range ipv6-prefix / prefix-length [ advertise | not-advertise ] [cost cost]

コマンド内容
ipv6-prefix / prefix-lengthマリゼーションを行うためのIPv6プレフィックスとそのプレフィックス長を指定します。
advertise指定された範囲のルートを集約してアドバタイズします。
not-advertise指定された範囲のルートをアドバタイズしないようにします。
cost cost集約されたプレフィックスのコストを設定します。

アドレスファミリコンフィギュレーションモードでのオプション

OSPFv3エリアパラメーターの構成

OSPFv3(IPv6用のOSPF)において、特定のエリア内でIPv6プレフィックスを集約(サマリゼーション)するために使用されます。
Device(config-router-af)# area area-ID range ipv6-prefix / prefix-length

デフォルトルートのアドバタイズ

OSPFv3において、デフォルトルートを他のOSPFルータにアドバタイズするために使用します。
Device(config-router-af)#default-information originate [always ] metric metric-value | metric-type type-value | route-map map-name

コマンド内容
alwaysルーティングテーブルにデフォルトルートが存在しない場合でも、常にデフォルトルートをアドバタイズします。
metric metric-valueデフォルトルートに特定のメトリック(コスト)を設定します。
metric-type type-valueOSPFv3では、メトリックタイプとしてType 1またはType 2を指定できます。
route-map map-nameルートマップを使用して、デフォルトルートのアドバタイズを条件付きで制御します。

デフォルトメトリックの設定

OSPFv3ルーティングプロトコルに再配布されるIPv4およびIPv6ルートのデフォルトメトリック値を設定します。
Device(config-router-af)#default-metric metric-value

AD値の設定

ルーティングテーブルに挿入されるOSPFv3ルートの管理距離を構成します。
Device(config-router-af)#distance distance

フィルタリングの設定

インターフェイスで受信または送信されるOSPFv3ルーティングアップデートにプレフィックスリストを適用します。
Device(config-router-af)#distribute-list prefix-list list-name {in [interface-type interface-number] | out routing-process [as-number]}

コマンド内容
prefix-list list-nameフィルタリングに使用するプレフィックスリストの名前を指定します。
in [interface-type interface-number]特定のインターフェースから受信するルートをフィルタリングします。インターフェースを指定しない場合は、すべてのインターフェースから受信するルートに対してフィルタリングが適用されます。
out routing-process [as-number]特定のルーティングプロセス(例:他のOSPFプロセスやAS番号)に出ていくルートをフィルタリングします。

ロードバランシングの設定

OSPFv3ルーティングプロセスでサポートできる等コストルートの最大数を制御します。
Device(config-router-af)#maximum-paths number-paths

ルート集約の設定

エリア境界でルートを集約し、サマライズします。
Device(config-router-af)#area area-id range ip-address ip-address-mask [advertise | not-advertise] [cost cost]

OSPFv3でIPv6サマリープレフィックスを構成します。
Device(config-router-af)#summary-prefix prefix [not-advertise | tag tag-value]

コマンド内容
summary-prefix prefix集約するIPv6プレフィックス(ネットワークアドレスとサブネットマスク)を指定します。
not-advertiseサマリールートを他のOSPFルータにアドバタイズしないように設定します。
tag tag-valueサマリールートにタグを付与します。タグは、ルート情報を識別するための任意の整数値で、他のルータやポリシーで使用されます。タグを利用して、後続のルーティングポリシーで特定のルートに対して異なる動作を適用することができます。

ルート再配布の設定

IPv6およびIPv4ルートを、あるルーティングドメインから別のルーティングドメインに再配布します
Device(config-router-af)#redistribute source-protocol [process-id] [options]

参考文献

OSPFv3 Address Families