PIMとは
**プロトコル独立マルチキャスト(PIM)**は、特定のユニキャストルーティングプロトコルに依存せず、既存のユニキャストルーティングテーブル(EIGRP、OSPF、BGP、スタティックルートなど)を活用してマルチキャスト転送を行います。PIMは独自のマルチキャストルーティングテーブルを構築せず、ユニキャストルーティング情報を使ってリバースパス転送(RPF)チェックを実行します。
PIMは、スパースモード(PIM-SM)とデンスモード(PIM-DM)の両方で動作可能で、ルータはこれらを同時に処理することもできます。これにより、ルータはマルチキャストルーティングテーブルのデータ入力方法と、受信したマルチキャストパケットの転送方法を決定します。
PIMはRFC 4601で定義されており、ルータ間でルーティング更新を送受信しない点が特徴です。
PIM デンスモード
PIM デンスモード(PIM-DM)は、ネットワーク全体にマルチキャストトラフィックをフラッディングするプッシュモデルを使用します。受信側がデータを要求しなくても、データを配信する方法です。この方法は、ネットワーク内のすべてのサブネットにアクティブな受信者がいる場合に効率的です。ルータが不要なトラフィックを検出すると、プルーニングメッセージを送信し、次回からはそのルータにフラッディングされません。このプロセスは3分ごとに繰り返されます。
PIM スパースモード
PIM スパースモード(PIM-SM)は、トラフィックを明示的に要求したネットワークセグメントにのみデータを配信するプルモデルを使用します。アクティブな受信者がいるセグメントにのみトラフィックが配信されるため、効率的です。共有ツリーを使用してデータパケットを転送し、RP(ランデブーポイント)が必要です。RPはマルチキャストグループを追跡し、送信元からのデータを受信者に転送します。必要に応じて、ソースベースの配信ツリーを構築します。
スパース-デンスモード
スパース-デンスモードは、スパースモードとデンスモードを同時に使用できる設定です。特定のグループごとにスパースまたはデンスのいずれかのモードを適用します。これにより、ネットワークの要件に応じた柔軟なマルチキャストトラフィック管理が可能になります。Auto-RP情報をデンスモードで配布しつつ、ユーザーグループのマルチキャストグループをスパースモードで使用することができます。
ランデブーポイント(RP)
RPは、PIMスパースモードで動作するネットワークで、マルチキャストデータの送信元と受信者の会合場所として機能します。RPは、送信元から受信者へトラフィックを転送する共有配信ツリーを形成します。RPは新しいセッションの開始に必要で、PIMv2では処理負荷が少なくなります。
SPT
SPT(Shortest Path Tree)とは、マルチキャストルーティングにおける概念で、マルチキャストトラフィックが送信元から宛先(受信者)までの最短経路を通るツリー構造のことを指します。SPTは、PIM(Protocol Independent Multicast)で特に重要で、トラフィックが効率的に転送されるように最短ルートを選択します。
SPTとRPツリー(RPT)の違い
PIM-SM(Sparse Mode)では、最初はマルチキャストトラフィックがRP(Rendezvous Point)を経由して転送されます。このRPを中心としたツリーは「RPツリー(RPT: Rendezvous Point Tree)」と呼ばれます。しかし、RP経由ではトラフィックの経路が最適でないことが多いため、特定の条件下でルータはSPTに切り替えます。
- RPT(RPツリー): 送信元から一度RPを経由して受信者にデータを配信する経路。最初のマルチキャストトラフィックはこのRPツリーを使うことが多いです。
- SPT(Shortest Path Tree): 送信元から直接、最も短い経路を使って受信者にデータを配信するツリー。トラフィックが一定の閾値を超えると、自動的にこの経路に切り替わります。
SPTに切り替えることで、RPを経由せずに最短の経路を使うため、トラフィックの遅延を減らし、ネットワークのパフォーマンスを向上させることができます。